小説感想

榊一郎特集・・
◆君の居た昨日、僕の見る明日 第3巻「And Today You Standing」3
著者(榊一郎)、イラスト(狐印)

成仏してもらうわよ!
というわけで今巻は、異次元学校・鈴乃宮学園に爆烈巫女であるアグニエシカ・グラバルティ・阿倍野がやって来るって話。
「君の居た昨日、僕の見る明日」の第3巻で、今巻はドラゴンマガジンで連載中の「キミボク、そして私の立つ今日」をまとめたものであり、優樹ではなく爆烈巫女のアグニが主人公である。
そんなわけで、お約束の「ツンデレ」搭載で赤髪ツーテール(一般的に)の陰陽巫女というアグニが登場して活気は出てきたわけではあるが、やはりどうにも「地味」な印象である。
エロゲー」的な「閉ざされた世界」ってのはまあお約束ではあるわけだが、この世界はホントの意味で「閉ざされた世界」なわけで、どうにもこうにも「広がり」がないんだよね。
「学校ごっこ」と本編でも呼んでるわけだけども、ホントに「ごっこ」なんで、どうにも学校という空間がもたらす「日常性」から来る哀愁とか切なさとかがどうにも足りない感じなんだよなあ。
なんで「学園もの」としてのいまいちの乗り切れなさが・・。
とりあえず、「ドラゴンマガジン」の方の連載は終了したので、文庫の方でどのように締めてくれるのか楽しみにしたいところである。
しかし、狐印さんの絵柄、ちょっと変わっちゃったよね・・前の細目の絵柄のが好きだったんだが・・。


スクラップド・プリンセス サプリメント 第4巻「竜乙女の変奏曲」4(75点)
著者(榊一郎)、イラスト(安墨雪伸)

というわけで今巻は、大事な人を目の前で亡くしたことを責め続ける「竜機神」の人工知能であるテレジアは、「竜騎士」候補生のタクロウと「お見合い」することになるって話。
スクラップド・プリンセス」の外伝・・パシフィカ達が生まれるずっとずっと昔の話、「竜騎士」タクロウと、「竜機神」テレジアの出会い・・。
「ファンタジア・バトルロイヤル」に書かれた短編を大幅に加筆して長編にしただけあってか、短編の時より色々と掘り下げてあり、榊一郎お得意の人工知能という「偽物」をテーマにしつつ、タクロウとテレジアの「ラブストーリー」として綺麗にまとめあげていて、なかなかに面白かった。
特に、「大事な人を守れなかった」事で傷つく二人が、それを絆とすることで互いに引かれ合うっていう展開は、流石はこういうのが得意な榊一郎だけあってか非常に上手かった。
この「すてプリゼロ」は色々「美味しいネタ」も満載であり、非常に面白くもなりそうな要素が多いので、26機の「竜機神」の話とかもっと読みたかったよなあ(設定も色々あるみたいだし)・・タクロウにデレデレなテレジアとかも凄い可愛いしねえ。
とりあえず、「すてプリ」自体は残るは一冊だけのようで、ちと残念である。