小説感想

前に読んだラノベ以外の小説の感想を発掘・・


夏への扉 全1巻3
著者(ロバート・A・ハインライン)、訳者(福島正実
夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

というわけで、SFの大家であるハインラインの「夏への扉」。
天才肌の技術者である主人公のダニィは、ある日友人と恋人に裏切られて、自らの会社を二人に奪われることになる。
そして二人の罠でダニィは冷凍睡眠されて、30年後の2000年の未来に目覚めることになるのであったって話。
SFの「オールタイム・ベスト」ってことで、読んでみました。
まあまあ面白かった。
まさしく、「バックトゥザフューチャー」や「デモリッションマン」といった、「時間もの」の原点といった感じの話であった。
それがゆえに、「時間もの」としてはそれほど新しさも感じられなかったかな。
まあ、書かれたのは1957年で、今から45年も前の話だからねえ。
で、セリフや文章が少々冗長気味で読みづらくはあったけども、少しミステリタッチに淡々と進む展開はなかなかに面白かった。
でも、タイムマシンが出てきた辺りからの展開は、ちょっと強引だったかな。
ラストも結構ご都合主義的展開だったしねえ。
まあ強引さやご都合主義的展開は時間ものにはつきものではあるけどね。
あと、あの世界の「未来像」というのが、あながち間違ってなさそうなのは凄いと感じた。
今や2000年を過ぎて2002年だけども、来るべき近未来には、「文化女中機」や「窓拭きウィリィ」、「万能フランク」といった、「ロボット社会」というはかなりありそうだからねえ。
昔の作品ではあるが、それほど古臭さは感じなかったからね。
過去から未来、未来から過去という、「時間的ギャップ」がゆえの戸惑いや驚きというお約束もきちっと書かれていたのも良かった。
まあ、ダニィとピートの未来に幸あれ・・。
しかし・・出番少なかったが、リッキィは結構萌える妹ロリキャラかもしれないな(笑)


◆むかし僕が死んだ家 全1巻4
著者(東野圭吾
むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)
というわけで、東野圭吾の「むかし僕が死んだ家」
幼い頃の記憶のない7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すために、主人公は彼女と共に「幻の家」を訪れる。
そして、その人の来ない山中の異国風の白い家で、二人は恐るべき真実を知ることになるって話。
登場する人物は、基本的に2人の人物と灰色の家ひとつだけなのだが、その家に残された物や伏線から二人が推理し、考え、その家で行われていたドラマが少しづつ進展して行き、隠されていた謎や秘密が明らかになるという展開が面白かった。
まさしく推理ミステリーという感じである。
やはり、あの家の存在のアイデアが秀逸であった。