小説感想

◆しずるさんシリーズ第2巻「しずるさんと底無し密室たち(The Bottomeless Closed−Rooms In The Limited World)」4
著者(上遠野浩平)、イラスト(椋本夏夜
しずるさんと底無し密室たち The Bottomless Closed-Rooms In The Limited World (富士見ミステリー文庫)

というわけで、上遠野浩平のしずるさんシリーズの第2巻。
今巻は、「密室」に関わる不可思議な事件を解き明かすしずるさんとよーちゃんって話。
相変わらず今巻も、テーマとしては「密室」と言いながらも全然密室っぽくなかったり、どこか虚無感漂う空虚な感覚があるのがいかにも上遠野的ミステリーって感じである。
謎自体も最初は奇妙で不可思議極まりないのに、トリック自体が明かされるとそれは人の「ごまかし」によるちょっとした「盲点」や「錯覚」という「ずれ」でしかなかったりする辺りやら、そこに「切なさ」みたいなのが入ってくるとこもとっても上遠野的で、「チクタの冒険」のような童話っぽいのを挿入してるのが良いアクセントになっている。
確かにアクションとかもなくて淡々としてて地味なんだけど、この「不気味」な感覚は結構好きになって来たかもしれない。
まあなにより、しずるさんとよーちゃんの百合百合ラブラブっぷりが非常に微笑ましくもあり、萌えてしまうのがやはり一番ではあるが(笑)
そういや、いつもながら上遠野ワールドとのリンクがあったな。
しずるさんはブギーポップの凪と同じくMPLSな病気なのかな?・・病院は「ホーリー&ゴースト」のスリムシェイプと同じっぽいし。
あと、富士見ミステリー文庫は2004年から装丁デザインが変わったようで、しずるさんシリーズももちろん変更・・1巻新しいのに買い直さないとなあ。
でも、この装丁デザインは非常にすっきりして美しく、どこかやぼったかった前のに比べると全然良いですな。
富士見ファンタジア文庫もそろそろ変えてもいいかもねえ・・デザイン関係では電撃文庫に比べると遅れまくってるしね。


スクラップド・プリンセス サプリメント第3巻「聖地に流れる円舞曲」4
著者(榊一郎)、イラスト(安曇雪伸
聖地に流れる円舞曲―スクラップド・プリンセスサプリメント〈3〉 (富士見ファンタジア文庫)
というわけで、特別編でもある「スクラップド・プリンセス サプリメント」の第3巻「聖地に流れる円舞曲」
今巻は、マウゼルシステムが停止した事により魔法がなくなり、ラクウェルは世界に再び魔法を復活させるべく聖地グレンデルに向かうって話。
本編終了後の「余談」とも言える話ではあったのだが、気を抜いたコメディ話でもあり、それぞれのキャラも生き生きしていてなかなか面白かった。
特に、「暴走」ラクウェル姉はやはり楽しくて笑えて、できればもうちょっと「暴走」が見たかったところである。
というか、こうやって久々に「すてプリ」キャラに触れて見ると、意外にこの世界やキャラが結構好きだったんだなと気づき、もうちょっと続きが読みたいなという気分にさせられた。
まああと2冊(予定)はあるみたいなんだし、その辺に期待するかな。
あと、最終巻で気になっていたスィンが一体誰の子なのかってヤツなんだけど、ラクウェル姉のお子さんじゃなかったんだねえ・・残念!


魔法戦士リウイ第二部第1巻「剣の国の魔法戦士」3
著者(水野良)、イラスト(横田守

というわけで、「魔法戦士リウイ」の第2部の始まりである「剣の国の魔法戦士
今巻は、古代王国の遺跡から発見された一冊の古代書が、リウイとオーファンを巻き込む騒乱へと発展するって話。
これはドラマガで連載された「魔法戦士リウイ」よりも前に描かれ一番最初の物語であり、実は自分も昔読みました・・内容は忘れましたが(笑)
なんで、新装版にもなったってことで、再読。
まあまあ面白かった。
前に読んだときは、最後のまるで「ランボー」のようなマジックアイテム使いまくりのリウイの戦闘は萎え萎えだった覚えがあったのだが、これのプレストーリーを読んでリウイというキャラの事や、他のキャラの事にも知識があるおかげか、それほど違和感がなく読めた。
やはりキャラへの感情移入があると、変わってくるものだねえ。
ロマールの軍師ルキアルの、相変わらずの「持って回った」陰謀策謀も、SWリプレの方でなじんだせいか、その辺もなかなか面白く感じたしね。
それにしても、横田守の描く魔女ラヴェルナは、なんてボインボインなんだ・・ありえない(笑)