小説感想

アリアンロッド・サガ・リプレイ・アクロス 第1巻「天に月、地に剣」4
著者(久保田悠羅)、イラスト(植田亮


というわけで「アリアンロッド・サガ」シリーズ第2弾、「アクロス」始動。
GMは「ハートフル」の久保田悠羅で、PLは初心者として脚本家の吉村清子を加え、FEAR系では矢薙直樹菊池たけし、遠藤卓司というメンバー構成。
で、きくたけGMの「サガ」の方はハンドアウトに高レベルキャラと、色んな意味で上級者向けの作りだったわけであるが、こっちの「アクロス」の方は「ハートフル」の久保田悠羅らしいというか初心者向けの作りであり、「アルディオン大陸」用のキャンペーンの指針としてなかなかにわかりやすく丁寧に作っているのが良かった。
キャラ作成もハンドアウトがちがちではなく、「傭兵」という設定以外はプレイヤー主導で、プレイヤー同士のコンセンサスによってキャラが肉付けされ関係性が構築されていくあたり、懐かしくもあり良い雰囲気を作っていた。
シナリオの方も、傭兵のメンバーをパーティとして動かしていて、戦争そのものに直接関与はしていないけれど、間接的に関係させることで「戦記」っぽさをちゃんとかもし出していて緊張感があり、パーティの行動にドキドキする感じがあったのも素晴らしい。
シナリオ分岐によって後の展開が変わって行く様な自由度の高さとかも、TRPGならではだったしねえ。
なんと言うか、昔懐かしい「ロードス島戦記」シリーズのリプレイを思い出したよ。
地味に淡々と描く久保田悠羅のテイストは、「ハートフル」の学園ものよりこっちの戦記ものの方があってるかも。
あと、キャラバランスもなかなかに絶妙で、きくたけや矢薙直樹が変な暴走をすることもなく、熱血少年、ほのぼのお姉さん、冷静なリーダー、論理的助言役とそれぞれの役割を演じつつ綺麗にまとまっていたのも良かった。
まあ、その代わり・・きくたけの「サガ」のベネットみたいな豪快な破天荒っぷりはないので地味な印象ではあるんだけどね。
とりあえず、上級で派手目な「サガ」、初級で地味目な「アクロス」という住み分けはできてるので・・次の社長こと鈴吹太郎の「ブレイク」がどんな感じになっていくのか楽しみにしたいところである。