小説感想

神曲奏界ポリフォニカ 短編集 第1巻「まぁぶる」4(70点)
著者(榊一郎大迫純一高殿円築地俊彦)、イラスト(BUNBUN、兎塚エイジ

というわけで、「神曲奏界ポリフォニカ」シリーズ・・青、黒、白、赤と、各色が勢揃いの短編集。
「赤」以外の世界観をてっとり早く知るための勉強として、ちょいと読んでみる。
築地俊彦の「ぶるう(青)」がニートで、大迫純一の「ブラック(黒)」が警官で、高殿円の「ホワイト(白)」が学生で、でもって榊一郎の「クリムゾン(赤)」が派遣社員って感じなのね。
「音楽」と「精励」というモチーフである同じ世界観でありつつ、それぞれが立場・職業の違うキャラクターの織り成す物語となっていて、なかなかに面白かった。
個人的には、心優しき大男であるマナガと、無口で小柄な少女であるマナティの「黒」はモチーフも好きで、ちょい気になったな。
とはいえ、「赤」以外は長編のシリーズを読んでないせいもあってか、それぞれの事前情報がないのでいまいち設定などがわかりにくくて取っ付きにくい感じはあったな。
まあでもこれで、それぞれのシリーズのキャラや世界もある程度わかったので、徐々に他のシリーズも読んでいきたいところである。
とりあえず、メインラインである榊一郎の「赤」の締めの短編はなかなかに面白かった。
事前情報を知ってたのもあったけども・・他の短編とのクロスオーバーな絡みがあったり、精霊が八百万の神々みたく妖怪然していたり、「人間と精霊」という榊一郎の好きな異種間の関係というテーマにもがっちり切り込んだり、ドタバタの末の笑えたオチだったり、なにより嫉妬するコーティの可愛さが炸裂していたりと、締めにふさわしいバランスとなっていて、非常によかった。
それにしても、「トルバス・スピリット・フェスタ」は長編には絡んでくるのだろうか。
なかなかに面白そうな展開にもなりそうであり、ぜひ見てみたい気にさせられたな。