小説感想
著者(新井輝、築地俊彦、水城正太郎、師走トオル、田代裕彦、吉田茄矢、あざの耕平)
イラスト(さっち、駒都え〜じ、しのざきあきら、緋呂河とも、若月さな、深山和香、村崎久都)
というわけで、富士見ミステリー文庫の企画として生まれたリレー小説「ネコのおと」
2006年度2ちゃんラノベ板大賞下半期の某感想が、あまりにいい感じだったので読んでみたのだが・・なかなかに面白かった。
正直、一本の作品として見ると「これってどうよ?」となるのは仕方がないわけではあるのだが、「リレー小説」というこの無茶で無謀な企画がゆえの疾走感には溢れていて、妙なポテンシャルは非常に高い。
なにせ途中から(3話の水城正太郎さんが戦犯であろう)は作者自らが登場し、しかも自分の作品のキャラクターと介するという「メタフィクション」状態となっていて、「くっそ〜、この忙しいのになんでこんな企画やらなきゃならねえんだよおお!」的な作家さん達の吐露と激情に溢れた雰囲気と悪戦苦闘ぶりが直に感じられ、これほどまでに作家さん達の息づかいが聞こえる「臨場感」たっぷりな小説はそうはないであろう。
特に、最後をガッツリと締めてくれたあざの耕平パートの怒涛の疾走感は白眉であり、何と言ってもあざの先・・もとい、師走先生の編集長への激白攻撃は爆笑ものであった。
あと、「LOVE寄せ」やら「電〇文庫」やらの危うさ満載のネタの数々なんかも、ギリギリ感が出ていて非常によかった。
もしかしたら編集サイドとしては、第1話や第2話のように「ネコノート」を絡めて富士ミスキャラが総登場してのドリームマッチを期待してたのかもしれないが、まあ面白かったしコレはコレでありだと思う。
とはいえ、登場してる作家さんや作品を全然知らなくて、こういう遊びが嫌いだったりすると楽しめない感じがあるのは、仕方がないところではあるな。
こういう企画は面白くてまた見たくはあるんだけど、もう二度とやらないだろうなあ(笑)