アニメ感想

スターシップ・オペレーターズSE:09「ターニング・ポイント(TURNING POINT)」4(75点)
脚本(富沢義彦)、絵コンテ(渡部高志)、演出(上田繁)、作画監督(松本文男、尾崎正幸)

というわけで今回は、緊急ワープをしたアマテラスは中立地帯へとたどり着き、一時の休息を得る。
そんな時、王国では最高評議会議長が死に、事態は急展開を迎えるって話。
今回は、ほぼオリジナル展開である。
うむ、なかなか面白くなってきた。
まさしく「ターニング・ポイント」といった感じであり、1クール(13話)終了を見据えての区切りであり、多分ここからはアニメオリジナル展開となるようだ。
原作厨房な自分であるが、この展開への評価は高い。
シノンの自分たちの「選んだ道」への迷いや戦いへの苦悩、イリキやレンナの死、おやっさんとの絡み、それぞれがこれまでを踏まえて生きてきている。
どうやらアニメ版は、「原作」を踏まえたうえでの、「アニメ版なりの結論」を出そうとしているようで、非常に興味深い。
今までは、説明不足や描写不足による原作の「デッドコピー」といった流れであり、非常にぶらついた印象しかなかったのだが、どうやらアニメ版最終回を見据えたことでぶらつきがなくなり、照準が定まった感じである。
実のとこ、「原作より先に終わらす」というのは非常に危険な行為でもあり(最近だと「美鳥の空」とか)、原作ファンの大いなる非難を受ける訳ではあるが、もう十分に非難は受けている訳でもあり(笑)、個人的には「原作は原作、アニメはアニメ」という感じで、「アニメ版最終回」を期待したいと思う。
まあそれはそれとして、今回はちょっと作画がヘタレ気味だったなあ・・シノンおやっさんのチューのシーンぐらい、もっと良い作画が欲しかったよ・・。
で次回は、「サドンデス」・・こりゃやっぱ完全にオリジナルっぽいなあ。


スターシップ・オペレーターズSE:10「サドン・デス(SUDDEN DEATH)」4(70点)
脚本(富沢義彦)、絵コンテ(渡部高志)、演出(ながはまのりひこ)、作画監督(谷川政輝、沖田篤志

というわけで今回は、AGIの本社のある惑星パルミアへとやって来たアマテラスに、王国の特殊部隊が襲撃をかけるって話。
どうやら基本ラインは原作を踏襲しながら、細かい部分でアニメオリジナルの展開で行くようである。
王国の最高会議議長の死により荒れる王国の現体制の煽りを受け、さらに強硬路線となった王国は中立地帯である星間企業・AGI所有の惑星国家パルミアへとアマテラス襲撃部隊を派遣。
そしておやっさんが戦死し、シノンは悲嘆に暮れ、アマテラスにはさらなる苦難の戦いが待ち受ける・・と「展開」としてはなかなか面白い。
今回は作画もなかなか良く、それぞれのキャラが生きていたのも良い感じである。
あくまで「今回」だけを見るならなかなか良い話ではあった。
というか、ホントにアニメ版は「間」とか「情感」とかがないな。
前回シノンおやっさんを恋愛関係にして、今回いきなり戦死させるあたり、いくらなんでも「あんまり」過ぎる感じである。
(実は原作では、おやっさんの代わりに第2話で死んだイリキがここで戦死し、これがアマテラス初の戦死者となる・・もちろん、おやっさんは生きている)
展開が早すぎるんだよな・・「ワンクッション」がない、ほとんど「ダイジェスト」。
原作好きではある自分としては、原作と違って「死に展開(俗に言う「鬱展開」)」にすることは確かに、危機感や緊張感や悲愴感を高めることとなり、より「ドラマチック」に「シリアス」にすることもできるので判断としては悪くないことだとは思ってはいる。
だが、そうするならするでもっと練り込んで、それぞれのドラマに「流れ」を作っていっておかないと、単なる「段取り」に過ぎなくなる。
「シチュエーション優先」で、場を高めるためのそれぞれの「行間」がないんだよな。
あと「死」の描き方にしても、イリキ、レンナ、ウォン艦長、そしておやっさんと、どうも「無謀」が先んじ過ぎていて、それぞれの死への「説得力」にも欠けるのも痛いな。
原作は小説だから、そういった部分にはほとんど心理描写や解説描写などでの補足説明が入っていてアンサーがあるわけだが、アニメはそういった部分がないので、多くのところで唐突感などがあるんだよな。
小説というのは、漫画やアニメのような「絵」としての「アドバンテージ」がない代わりに、そういった心理描写や解説描写による世界やキャラへの深みが「アドバンテージ」となっているわけだが、アニメ版はそういう部分が完全に「ペナルティ」になってるなあ。
確かに「小説もの」を原作にしたアニメはそういった部分がペナルティになって、多くの作品でも上手く表現はできてないわけだが・・。
話が「総論」っぽくなって、ずれた・・(笑)
まあというわけで、それぞれの「シチュエーション」自体は面白いのだが、やはりそれらを繋ぐ「行間」がないのが、アニメ版最大の欠点であることは間違いがないな・・もったいない。
で次回は、「リターン・マッチ」

・追記
あずまんが大王」「ガンパレード・マーチ」など、そしてこの「スターシップ・オペレーターズ」で、多くのJCスタッフ作品で作画監督をされていた和田崇さんが、お亡くなりになられたそうである・・。
後年は特に、総作画監督として良い仕事をされていただけに、非常に残念である・・。

ご冥福をお祈りいたします・・。