小説感想

そろそろ、小説感想のストックがなくなってきた・・


◆突撃アンソロジー第1巻「小説創るぜ!」5
著者(秋田禎信榊一郎神坂一賀東招二)、イラスト(金澤尚子
突撃アンソロジー 小説創るぜ! (富士見ファンタジア文庫)
というわけで、ファンタジア文庫1000冊記念に、ライトノベル界の「少年ジャンプ」かもしれない「ドラゴンマガジン」の読者参加企画である「小説作るぜ!」が文庫化。
「小説創るぜ!」とは、読者から送られた設定を基に、「魔術師オーフェン」の秋田禎信、「スクラップド・プリンセス」の榊一郎、「スレイヤーズ」の神坂一、「フルメタル・パニック」の賀東招二ドラマガ売れっ子作家の四人が短編を書くという、なかなかに太っ腹で馬鹿な企画。
なんか、「ジャンプ」や「サンデー」などでたまに作家さんが描かれる「短編」を思わせて、良いね。
こういうのって「第1話」や「原案」だったりするから、非常にポテンシャルあるしね。
それと読者からの設定を「元ネタ」「モチーフ」にして作って行くというのが、「小説制作教室」ってな感じを思わせる、「過程」を感じさせて面白い。
まあ、とりあえずそれぞれの感想でも。

>「スペル・ブレイク・トリガー!」3
著者(秋田禎信)、イラスト(すまき俊悟

天然ボケ少女リューラは、財の王の命令を受けて50年前に封印された勇者を復活させる旅に出るって話。
作者もあとがきに書かれてるように、非常にキャラの「勢い」のある話だった。
これでもかとキャラが動き回るので、ライトノベルっぽい楽しく明るい雰囲気なっていた。

まあそれゆえに、全体的に練り込み不足のためかなり「大味」な作りで、ちょっと展開とかが適当だったな。
これも、作者としては自覚的みたいなんで、1巻分ぐらいにしてきちっと設定やらを積めて行けば、結構面白くなるかもしれない。


>「ウィークエンドメサイア」4
著者(榊一郎)、イラスト(小笠原智史)

薄幸少女・滝月子は、南海にある人口島・ホルスト学園で、「恐怖の大王」と戦うことになるって話。
まあなんつうか、今更こういう事を言うのも月並み過ぎてアレでナニなんだけど、これって「エヴァっぽい」よね(笑)
まあ、学園ネタが前面に出てきそうな辺り「ガンパレードマーチ」かもしれないけど。
という感じで、お約束のエヴァっぽいネタに、ライトノベル的なキャラクターを前面に押し出した「学園ドタバタ」に「魔法機械」もありありと、結構面白かった。
作者である榊一郎もあとがきで「気に入っている」と語っているように、出来もなかなか良く、続きが読みたい感じである・・全5巻ぐらいで(笑)


>「あしたの大魔王」3
著者(神坂一)、イラスト(ひろやまひろし

魔王の娘であるモリガナは、「あしたの大魔王」となるために浮遊高校に入学するって話。
流石は、ドラマガでもすでに10年選手であり長い経歴を持つラノベ作家、「職人」神坂一
読者からの元ネタをきっちり使って、きっちり手堅くまとめてる手腕は流石。
なんつうか、「普通」に面白い(笑)
このままドラマガで連載してもおかしくない感じだわな。


>「機動アントロイドエーネジェント メタルソルジャー」5
著者(賀東招二)、イラスト(鶴田謙二

小説家の工藤真菜は、ある日出版社の企画で、投降ハガキから小説を書く事になるって話。
最後のトリをつとめるは、「フルメタル・パニック!」の賀東招二による短編。
他のと違い、これは賀東招二らしいっつうか、非常にひねくれた(笑)内容であり、変化球。
だが、それゆえに「メッセージ性(笑)」も強くて、実は一番面白くはあった。
こういう感覚って、なんつうか非常にわかるからなあ。
自分も、「若気の至り」のひとつやふたつや、百や千の記憶はあるし(笑)