小説感想

久々に「ザ・サード」の残りを読む・・

ザ・サード特別編「風花の舞う街で」3
著者(星野亮)、イラスト(後藤なお

というわけで今回は、最果ての街「スノウフレイクス」の行政局長の暗殺の仕事を受けたパイフウは、その途中の砂漠で襲撃され両親を失った少年エリオットを助けることになるって話。
ザ・サード0(ゼロ)」ということで、今巻は外伝であり過去話となる長編。
「クールビューティ」な美女・パイフウ先生が主役であり、第5巻に登場した「イレイザー」アレクセイや、短編集に登場した「何でも屋」MJなどが出てくる代わりに、本編の主役である火乃香やボギー、でもって浄眼機は一切出番がなしでした。
まあしかし、パイフウ先生やMJも十分に主役を張れる器でもあり、今回の外伝はそのキャラの器の広さを見せる感じでもあり、相変わらず文章はちと重めではあったが、バランスも良くできていて、なかなかに面白かった。
こういう過去などの描き込みにより、そのキャラの深みも出てくるわけであり、「ゼロ」シリーズがあるならまた見たい感じではある。
パイフウ先生も昔はもっと暗かったようだし、エンポリウムで保健の先生やるまでにはまあ色々あっただろうしね・・「男嫌い」は変わってないみたいだけど(笑)


ザ・サード短編集第1巻「いつか時が流れても」4
著者(星野亮)、イラスト(後藤なお

というわけで今巻は、「ザ・サード」のドラマガなどで連載されたものを集めた短編集の第1巻、「いつか時が流れても」
内容は、短編4本に、書き下ろしの中編を収録。
で短編の方は、テーマ的な流れのある本編とはまた違った軽目のエピソードの連なりではあるが、それぞれが「ザ・サード」のキャラの一面が垣間見れる作りとなっていて、なかなかに面白かった。
特に、火乃香の母であるレオノーラ達のキャラバンの話は、これまた一癖二癖もあるキャラが多数いて、「ゼロ」と同じくこれだけでも他の話が作れる感じでもおり、他のエピソードもみたい感じであった。
こういう世界に深みができる感じがあるのは、やはり良いね。
それにしても、短編の方は「人工知性体」達が基本的にはメインに絡んでいて、5式自動歩兵、ボギー、歌うたい、ノエル、となんだか「人工知性体」の話という感じだった。
ザ・サード」は、人間以上に「人工知性体」に魅力的なキャラが多いんだよね。
で、中編のの方の表題作でもある「いつか時が流れても」は本編の流れに一番近く、書き下ろしでは手加減なくたっぷり書かれていて、面白かった。
またいつか、マルガリータと火乃香との再会とかが描かれると良いな。